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加藤 友彰; 香西 直文; 田中 万也; Kaplan, D. I.*; 宇都宮 聡*; 大貫 敏彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(5), p.580 - 589, 2022/05
被引用回数:4 パーセンタイル:56.94(Nuclear Science & Technology)本研究は、福島第一原子力発電所の汚染水処理施設において、地下水に一般的に含まれる天然有機物であるフルボ酸が、活性炭に吸着除去されると考えられる放射性ヨウ素の化学状態に及ぼす影響を検討した。フルボ酸が無い場合、活性炭に吸着したヨウ素の化学状態は変化しなかったが、ヨウ化物イオンはヨウ素酸イオンよりも活性炭に吸着しにくかった。フルボ酸がある場合、吸着したヨウ素酸イオンの一部がヨウ化物イオンに還元した。本研究結果は、使用済み吸着材の長期保管中にヨウ素酸イオンの還元が進行することを示唆する。
紀室 辰伍*; 桐島 陽*; 長尾 誠也*; 斎藤 拓巳*; 天野 由記; 宮川 和也; 秋山 大輔*; 佐藤 修彰*
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(5), p.503 - 515, 2018/05
被引用回数:7 パーセンタイル:58.07(Nuclear Science & Technology)高レベル放射性廃棄物から溶出した放射性核種が地下水中の天然有機物の一種である腐植物質と錯生成することで、放射性核種の移行が促進される可能性が指摘されており、腐植物質と金属イオンの錯生成を定量的に記述する試みがなされてきた。腐植物質は、組成不均質性を持つ高分子電解質であり、その性質は起源や履歴によって大きく異なる。本研究では、北海道幌延町の深度350m地下水中に溶存している腐植物質を抽出し、幌延腐植物質のプロトン化反応における反応機構を調べ、また、腐植物質の分子量および流体力学径を取得し、単純有機物やIHSSの標準腐植物質のそれらの結果と比較した。その結果、幌延の腐植物質は、表層の腐植物質に見られるような複雑な組成不均質性を持たない、より単純な構造を持ち、その反応メカニズムもより単純であることが分かった。本成果は、腐植物質の特性がその起源により大きく異なることを明らかにしたものであり、核種移行を考えるうえで、この点を考慮すべきであることを示唆している。
上田 正人; 坂本 義昭*
原子力バックエンド研究, 12(1-2), p.31 - 39, 2006/03
核種移行に影響を及ぼす可能性がある地下水中の溶存腐植物質を濃縮法により採取し、採取した腐植物質の特性を確認した事例はわが国にはほとんどない。われわれは、深度約50mの地点から地下水を採水し、地下水中の溶存腐植物質を合成吸着樹脂を用いた濃縮法等により採取した。採取した腐植物質及びNordic腐植物質,Aldrichフミン酸などの標準的な腐植物質並びに採水した地下水について種々の特性データを取得し、比較検討を行った。この結果、採取した腐植物質及び地下水の紫外可視・蛍光スペクトル及びフミン酸/フルボ酸濃度比には有意な差がなく、本実験で採用した溶存腐植物質の一連の採取法が有効であることが示唆された。また、採取したフルボ酸の分子量分布,三次元蛍光スペクトル,赤外スペクトル,NMRスペクトルなど、腐植物質固有の特性は標準腐植物質と異なっていたが、アメリシウムとの錯生成において、腐植物質の分子量によらず一様に錯体を生成する点で地下水腐植物質とNordic腐植物質は同様の特徴を示した。これらの結果は、わが国の地下水中の溶存腐植物質が、放射性核種との錯生成に関して、既往の多くの研究で用いられている水系腐植物質であるNordic腐植物質と類似の特性を持つ可能性を示唆している。
田中 忠夫; 坂本 義昭; 向井 雅之; 前田 敏克; 中山 真一
Radiochimica Acta, 92(9-11), p.725 - 729, 2004/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.03(Chemistry, Inorganic & Nuclear)国際腐植物質学会から提供されているNordicフミン酸及びフルボ酸を030mg/l共存させた条件下で、粉砕した花崗岩及び凝灰岩を充てんしたカラム中におけるNiの移行実験を実施した。いずれのケースでもカラムを透過するNiの量は、腐植物質濃度が高くなるに従って増加した。カラムを透過するNiの割合は注入液中で腐植物質錯体を形成しているNiの割合に対応しており、カラムに注入した腐植物質錯体がそのまま流出したことを示唆する結果を得た。カラムを透過するNiの移行は、水溶液中におけるNiと腐植物質の錯形成と解離の速度を考慮した移行モデルを適用することによって説明できた。
山口 徹治; 中山 真一
JAERI-Conf 2003-018, p.115 - 116, 2003/10
ベントナイト系材料内におけるNp(IV)の有効拡散係数を炭酸イオン共存系で、Pu(IV)の有効拡散係数をフルボ酸共存系で取得した。また、負に帯電した鉱物表面に対する、アクチニド元素の吸着を、アクチニド元素がおもに負電荷を持つ錯体として溶存している条件で調べた。これらの研究の結果は多様な深部地下環境下における核種移行挙動を評価するために用いられる。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 薬袋 佳孝*
Geochimica et Cosmochimica Acta, 66(1), p.1 - 12, 2002/01
被引用回数:63 パーセンタイル:73.51(Geochemistry & Geophysics)環境中において粘土鉱物などの無機粒子とフミン酸などの有機物は強く結合して、有機-無機複合体を形成する。このような複合体と金属イオンとの相互作用を明らかにするために、レーザー誘起蛍光分光法(LIF)を用いてフルボ酸-モンモリロナイト複合体に吸着したCm(III)を直接的に観察した。LIFによりCm(III)はフルボ酸錯体として複合体に吸着することが明確に示された。Cm(III)の固液分配及び錯形成の結果と合わせて、一般に、環境中におけるアクチノイド(III)イオンの挙動はフミン物質の固液分配により支配されることを明らかにした。
亀井 玄人
JNC TN8400 2000-030, 17 Pages, 2000/12
海水起源堆積岩中地下水の代表例として、千葉県茂原ガス田の地下水を対象に、有機炭素(TOC)および有機酸(ギ酸、酢酸、乳酸、コハク酸、プロピオン酸 、吉草酸、酪酸、フミン酸およびフルボ酸)についても濃度を測定した。その結果、TOCが221240MG/Lの値を示し、有機酸はコハク酸とフルボ酸のみが検出され、それぞれ5.80.58.30.3MG/Lの濃度であった。地下水の温度やSO42-濃度を考慮すると、微生物の活動によってたとえばCHCOO + HO = HCO + CHのように示される反応が進行し、メタンとして滞留しているものと考える。
坂本 義昭; 長尾 誠也; 小川 弘道; Rao, R. R.*
Radiochimica Acta, 88(9-11), p.651 - 656, 2000/09
被引用回数:11 パーセンタイル:59.85(Chemistry, Inorganic & Nuclear)放射性廃棄物の処分に際しては、アクチニドの地中での移行挙動を把握することが重要となる。この移行挙動は地下水に溶存している腐植物質の影響を受けることが知られている。本研究では、アクチニドの中で重要なネプツニウムを取り上げ、砂質土壌及び粉砕した花崗岩を詰めたカラム中での移行挙動に及ぼす腐植物質の影響について調べたものである。その結果、砂質土壌及び花崗岩の両者において、分子量の小さい腐植物質(フルボ酸)を添加した場合には移行が促進されたが、分子量の大きな腐植物質(フミン酸)を添加した場合には移行が遅くなる現象が観察された。これらの結果は、腐植物質自身の土壌等への吸着性能の違いなどを反映しているものと思われ、腐植物質のネプツニウムの移行挙動への影響は、その種類により異なることを明らかにした。
天野 光; 松永 武; 長尾 誠也; 半澤 有希子*; 渡辺 美紀*; 上野 隆; 小沼 義一*
Organic Geochemistry, 30, p.437 - 442, 1999/00
被引用回数:28 パーセンタイル:52.71(Geochemistry & Geophysics)地表に沈着した放射性核種が広域に拡散する機構のうち主要なものは、河川による流出である。本研究は、高度に汚染されたチェルノブイル原子力発電所周辺30km圏内での表面土壌から流域河川への放射性核種の流出について、表面土壌からの溶存態成分の流出について解析したものである。はじめに表面土壌の汚染の特徴、存在形態解析を行い、次いで、表面土壌から水で抽出される成分について、蛍光分析、分子量1万での限外ろ過分析を行った。その結果、超ウラン元素の溶存態成分の大部分は分子量1万以上の成分に在存していることがわかった。この成分は、蛍光分析からフルボ酸の成分であろうことが判明した。Cs-137やSr-90は分子量1万以下が主要成分であった。
鈴木 康弘*; 中口 譲*; 平木 敬三*; 長尾 誠也; 工藤 充雄*; 木村 宗人*
地球化学, 32, p.21 - 30, 1998/00
本研究では、地層における放射性核種の移行挙動の支配因子の1つと考えられている腐植物質の特徴を調べる方法として、腐植物質の構造、官能基等の情報が得られる3次元蛍光スペクトルに着目し、天然水の腐植物質を濃縮することなく直接測定する方法の妥当性及び定量性を検討した。地下水の腐植物質の特徴に比較的良く似ている河川水試料に適用し、濃縮した腐植物質の測定結果と比較した。その結果、直接測定した河川水試料には2つのピークが検出され、濃縮した河川水腐植物質のピーク位置とほぼ一致した。また、採取地点により検出されるピークの蛍光強度が溶存有機物の有機炭素濃度と同様な変動傾向を示すことから、腐植物質は溶存有機物の大部分を占め、ピークの蛍光強度は腐植物質の濃度を反映していると考えられる。以上の結果は3次元蛍光スペクトルの直接測定法の有効性を示唆するものである。
長尾 誠也; R.R.Rao*; R.W.D.Killey*; J.L.Young*
Radiochimica Acta, 82, p.205 - 211, 1998/00
カナダ原子力公社チョークリバー研究所で採取した砂質土壌と地下水有機物を用い、溶存有機物存在下でのEuの砂質土壌における移行挙動をカラム実験により検討した。本研究では有機物の影響を詳細に調べるため、Aldrich社製フミン酸、河川水フミン酸・フルボ酸を参照有機物として用いた。Eu-152を含むpH5.5、イオン強度0.01M過塩素酸ナトリウム溶液を砂質土壌を詰めたカラム(内径2.5cm、長さ2.5cm)に1ml/minの流速で流し、溶出液のEu-152放射能濃度、有機物濃度を測定した。その結果、溶存有機物が存在しない系において、Euはカラムの空隙の90倍の溶液を流しても溶出液に検出されなかったが、有機物存在下において溶出液にEuが検出された。Euの最大相対濃度は河川水フルボ酸地下水有機物河川水フミン酸≒Aldrichフミン酸の順に大きくなった。これは、Euの移行性の増加がEuと有機物との錯体の分子サイズに支配されていることを示唆している。
鈴木 康弘*; 長尾 誠也; 中口 譲*; 松永 武; 村岡 進; 平木 敬三*
地球化学, 31, p.171 - 180, 1997/00
久慈川水系の河川水中に存在する蛍光物質の蛍光特性を濃縮等の試料前処理を行うことなく、3次元励起・蛍光光度計により調べた。河川水試料は久慈川から7点及び支流の3点で採取した。河川水の3次元励起・蛍光スペクトルは2ヶ所に蛍光強度ピークを有し、励起波長2205nm/蛍光波長42515nm及び励起波長32510nm/蛍光波長43010nmに蛍光強度ピークを示した。河川水試料中の蛍光強度ピーク位置及び蛍光強度比は、久慈川の中・下流域に分布する黒ボク土から抽出したフルボ酸のものとほぼ一致した。これらの結果より、久慈川水系の河川水中に溶存する蛍光物質は、主に、久慈川流域から供給されたフルボ酸様物質により構成されていることが示唆される。
渡辺 美紀*; 天野 光; 小沼 義一*; 上野 隆; 松永 武; 柳瀬 信之
Proc. of 4th Int. Conf. on Nucl. and Radiochemistry, 2, 4 Pages, 1996/00
チェルノブイリから放出される放射性核種の二次的移行を明らかにするために、チェルノブイリ周辺環境の表層土壌及び有機物層中の超ウラン元素を中心とした放射性核種について選択的抽出法により分画を行った。移動成分としては、Sr-90の大部分が可給態として存在しており他核種より移動しやすい。また不溶性成分の分画をAm-241及びCs-137について行った結果、Cs-137ホットパーティクル、ヒューミン、粘土鉱物に多いのに対し、Am-241は主にヒューミン及び非結晶質鉄酸化物に多く見られた。このことから、Cs-137の一部はホットパーティクル中に存在するのに対し、Pu-241由来のAm-241は溶解してヒューミン及び非結晶質鉄酸化物に吸着すると考えられる。プルトニウム同位体及びAm-241はフミン酸及びフルボ酸成分に多く存在し、Am-241はわずかにフルボ酸成分が多かった。
東 邦夫*
PNC TJ1604 92-001, 84 Pages, 1992/03
河川、湖沼あるいは海洋等、地球の表面水理系内には勿論のこと、地下水中にもフミン物質(腐植物質)がコロイド状で存在している。そのため、例えば、ネプツニウムのような非常に溶解度が低く、水中にはほとんど存在しないはずの元素が、このフミン物質に吸着してコロイド状で存在し、水中の見かけの濃度が高くなったり、水の移動と共に容易に環境中を移行することも十分に考えられる。このように、フミン物質の存在は、放射性核種の地中移行などとも密接に関係してくる可能性があり、近年、その重要性が深く認識されるようになってきている。本報告書の第一部には、このフミン物質に関する基礎的な実験的研究を行った我々の結果について報告する。第二部に於いては、ベントナイトとその変質によって生成するイライト中の水の拡散係数の測定結果について報告する。圧密ベントナイトが、核種の移行に対して示す大きな遅延効果は、水を溶媒として、その中に存在する溶質がベントナイトに吸着することによるものであり、溶質は水という溶媒の中で動き、移行する。したがって、溶媒たる水自身が、圧密ベントナイト中で、どのように束縛された状態にあるか調べておくことは、ベントナイト中に於ける放射性核種の遅延効果を理解する上で、基本的な重要性をもっているのである。
新井 英彦; 宮田 定次郎; 新井 陸正; 作本 彰久
水道協会雑誌, 53(4), p.35 - 42, 1984/00
塩素殺菌処理により水道水中に発ガン性の疑いのあるクロロホルム等のトリハロメタンが生成していることが、ここ数年来、世界的に問題となり、その対策が急がれている。このトリハロメタンは、上水原水中に天然に含まれているフミン質類と塩素との反応で生じたものと考えられている。本研究では、フミン質類の中でも処理が特に困難とされている水中の微量のフルボ酸の除去を、放射線とオゾンとを併用する処理法で検討した。この方法による処理により水中のフルボ酸の濃度を、トリハロメタンの生成が十分に抑制できる程度(全有機炭素量、TOC、で1mg/l以下)にまで短時間で効率よく低下させることができた。また、この処理法によると、TOCの除去速度が、PH、オゾン濃度、処理温度および共存するイオンの影響をほとんど受けないことを明らかにし、この処理法がフルボ酸の有効な除去法となり得ることを示した。
紀室 辰伍*; 桐島 陽*; 秋山 大輔*; 佐藤 修彰*; 長尾 誠也*; 天野 由記; 宮川 和也; 寺島 元基
no journal, ,
地中で放射性核種と相互作用する可能性の高い天然の物質の一つである腐植物質は、不均質な組成を持つ高分子電解質として知られ、その高い錯形成能から結果的に放射性核種の溶解度を増加させる可能性が指摘されている。これまでに幌延深地層研究センター地下施設の250m及び350m調査坑道において採取した地下水から、IHSS法を用いて抽出されたフミン酸の特性評価及びプロトン化反応熱力学量の導出を行い、幌延フミン酸が低分子有機酸と類似した性質を持つことと、採取深度により反応機構が異なる可能性が示されてきた。本研究では、幌延フミン酸の特性や深度依存性、反応機構について理解を進めるため、5kDaと3kDaの限外ろ過フィルタを用いて分画したフミン酸の全有機炭素量を測定した。その結果、幌延深部地下水中のフミン酸は、分子量3000Da以下の画分が占める割合が最も大きいことが明らかになった。また、深度250mの試料は、深度350mの試料と比較して、大きな画分を持つ割合が大きいことが明らかになった。